2013年5月31日金曜日

ラタトゥイユ

昨晩はクックパッドのKT121さんのレシピでラタトゥイユを作りました。

とってもおいしかったので、また作りたいと思います!

ナスはあいにく切らしていたので、入れませんでした。それからパプリカは赤ではなくて家にあった黄色いパプリカを使い、トマト缶を使いたかったので生トマトではなくて缶詰を使用しました。KT121さんのアドバイス通り、トマト缶の汁は使いませんでした。

白ワインを使うラタトゥイユははじめてで、どんな味になるのかな?と楽しみでしたが、トマトの酸味がほどよく消えてとてもまろやかで爽やかなラタトゥイユでした。大好きなオレガノも入れるレシピだったので、とても気に入りましたし、野菜の栄養をたっぷり摂取できたな、と大満足でした。

次はレシピ通りにナスと完熟の生トマトを使って作りたいな、と思いました。
















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2013年5月30日木曜日

マーニー

ヒッチコック監督の「マーニー」を観ました。

  • 製作国:アメリカ(1964年)
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • 脚本:ジェイ・プレッソン・アレン
  • 原作:ウィンストン・グレアム
  • 出演:ティッピ・ヘドレン、ショーン・コネリー
  • 上映時間:130分

【あらすじ】

マーニー(ティッピ・ヘドレン)はあるトラウマから赤い色を見ると激しく動揺してしまう。また、盗癖があり、金庫破りの常習犯でもある。ある会社で金庫破りをした後、マーニーはマーク(ショーン・コネリー)の会社で働こうと面接を受ける。以前マーニーが金庫破りをした会社と取引のあるマークは興味もあり、マーニーの素性を知った上で採用を決める。マークの会社でも金庫破りをしようと勤めながらも社内で情報を集めるマーニーだったが・・・。

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当たり前かもしれないのですが、ショーン・コネリーが若い!そしてかっこいい!最近の映画での渋い演技が印象に残っているのですが、この映画ではその渋さというのがまだ出てきていないような感じがしました。「精悍」という言葉がぴったりです。

マーニーのクラシックな服装が上品で素敵だな、と惚れ惚れ。オフィスで着ていた洋服も、マークと結婚してからの洋服も質が良さそうでティッピ・ヘドレンによく似合っていて普段楽な服装ばかりしている私にはとても良い目の保養になりました。

赤い色が出てくるたびに異常なほど動揺するマーニーに「何が原因でこうなったの?どうしちゃったの?」とどんどん映画に引き込まれていきました。

1960年代の映画なので現在の撮影技術と比較する必要は無いとは思うのですが、マーニーの乗馬シーンなどで「ああ、合成なんだな」と目につくところが多々ありました。

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2013年5月29日水曜日

お早よう

小津安二郎監督の「お早よう」を観ました。

  • 製作国:日本(1959年)
  • 監督:小津安二郎
  • 脚本:小津安二郎、野田高悟
  • 出演:笠智衆、久我美子、杉村春子
  • 上映時間:94分


【あらすじ】

東京郊外のいくつかの家族が住んでいる住宅地が舞台。
ご近所付き合いがとても濃い地域で子供たちはいつも一緒に遊んでいる。最近は勉強をしないで、テレビのある派手好きな若夫婦の丸山家に入り浸っており、親たちはそれが気に入らない。特に子どもたちに大人気の相撲がはじまる時間になると親の言う事は一切無視でテレビにかじりついてしまうのである・・・。

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当時の世相がよく分かる映画です。
日本でテレビが普及しはじめて、テレビのある家はどこも大人気。相撲界では若乃花が大活躍していて子供たちは相撲に夢中になっていて興味深かったです。今の子どもたちには相撲はあまり人気が無いようですし。それから、林家の実ちゃん達が着ていた学生服と学生カバンが懐かしかったです。今はとてもおしゃれな制服の学校ばかりですよね。

勇ちゃん役を演じた当時子役の島津雅彦さんがとてもかわいいんです。子供たちは英語を習っていて、小さい勇ちゃんのセリフに「アイラブユー!」というのがあります。意味を分かって言ってるのかな?と思って笑ってしまいました。どこへでもお兄ちゃんの実ちゃんにくっついていく姿もとってもほほえましかったです。

小津監督の映画を観るといつも思うのですが、セリフのある役者さんを正面から撮影する技法は自分がその役者さんと対面しているような気分になってとても面白いです。

ご近所同士のちょっとした揉め事はありますが、特に大きな事件があるわけではなく、当時の一般的な家庭の日常を描いたとてもほのぼのした映画だと思いました。

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2013年5月28日火曜日

用心棒

先週末に黒澤明監督の「用心棒」を観ました。

  • 製作国:日本(1961年)
  • 監督:黒澤明
  • 脚本:黒澤明、菊島隆三
  • 出演:三船敏郎、仲代達矢、志村喬
  • 上映時間:110分
【あらすじ】

江戸時代末期、一人の浪人(三船敏郎)が2つのやくざ勢力が対立する小さな宿場町を訪れる。浪人は自らを桑畑三十郎と名乗り、やくざ勢力をつぶし合いさせようとする。
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最近仲代達矢さんが出演されている映画を観る事が多いのですが、本当に素晴らしい俳優さんだな、とつくづく思います。今回観た「用心棒」では三船敏郎さんの敵役のやくざを演じているのですが、立ち居振る舞いにとても色気があるのです。

もうだいぶ前に一度観たことがある映画なのですが、やっぱり三船敏郎さん演ずる桑畑三十郎はすべてに無駄が無く、特にラストのセリフは何度観てもたまらなくかっこいいです!未だに先日観た「切腹」の津雲半四郎のまねが流行っている我が家ですが、この映画を観終わってからは出かける際などに桑畑三十郎のラストのシーンのセリフをまねする者が2名ほどおります。

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2013年5月27日月曜日

赤ひげ

黒澤明監督の「赤ひげ」を観ました。
山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」は何度も読んだのですが、映画をまだ観た事がありませんでした。

  • 製作国:日本(1965年)
  • 監督:黒澤明
  • 原作:山本周五郎
  • 出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努
  • 上映時間:185分
【あらすじ】

長崎で蘭学を学んだ青年医師保本登(加山雄三)は、自分の知らない間に江戸の小石川養生所の赤ひげと呼ばれる医師、新出去定(三船敏郎)のもとで働くように決められていた。はじめは断固として赤ひげのもとで働くことを拒否し、小石川療養所から追い出されるよう仕向けていた。しかし、患者と接する赤ひげの真摯な態度に次第に心を開き、小石川療養所で働く人々と共に患者の治療にその情熱を傾けていくようになる。
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原作でもそうなのですが、私は佐八のエピソードが好きです。死を迎える前に自分の過去を長屋の人々に告白していく佐八とそれを見守る佐八を慕う長屋の人々。自らの手で最愛の妻を殺めてしまう事になった悲しい過去は心に重く響きました。

おとよ(二木てるみ)のエピソードは原作から離れた、映画のオリジナルです。虐げられた暮らしを長い間送っていたおとよが赤ひげにより小石川療養所へ引き取られ、徐々に心を開いていく様子に感動しました。おとよを看病してくれた保本を好きになりすぎて、保本のやさしさを踏みにじってしまったり、おとよの感情が細かく表現されていました。
特に2つのシーンが印象的でした。
ひとつは、娼家から連れてこられてきて保本が与えようとする薬を拒否。保本に代わり赤ひげがおとよに薬を与えるシーンです。薬のさじを払いのけるおとよ、「うむ」と低くうなりながらも忍耐強くおとよに薬を与えようとする赤ひげ。そして、ようやく赤ひげから薬を飲むおとよ。このシーンは、静かに赤ひげが保本に患者とどう接するべきなのかを身をもって教えているようでしたし、赤ひげから薬を飲んだおとよが治療を受け入れはじめたとても良いシーンだと思いました。
もうひとつは、娼家の女主人がおとよを迎えに来た時のシーンが好きです。着ていた着物を馬鹿にされたおとよは、保本からもらった着物を女主人に見せつけ、自分はこんなに療養所のみんなに良くしてもらってるんだ!と言います。あんなに心を閉ざしていたおとよがこんなに元気になり、自分の意思を伝えられるようになるなんて・・・とこういうエピソードに弱い私はおとよのおばあちゃん気分になりました。
また、長坊とおとよの「飴」を巡るやり取りにもうるうるしてしまいました。人と関わることのできなかったおとよが、他人に優しくしている姿は感動以外のなにものでもありません。虐げられた暮らしを送ってきたおとよが、他人に哀れみの心を持つのです。私がおとよなら決してこんな風にはなれない、おとよは何て慈悲深い少女なのでしょうか。

いくつかのエピソードを織り込みながら、ラストのシーンを迎えます。このラストのシーンでは保本と赤ひげの心の結びつきがよくよく伝わってきて、ああ、また良い映画を観たなととても温かい気持ちで観終えました。

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2013年5月26日日曜日

ラザニア

昨晩はラザニアを作りました。
めずらしく手の込んだ料理だったせいか家族に大変喜ばれました。私としてはいつもの粗食(手抜き料理と家族は言います)の方が健康維持に良いので好きなのですが・・・。たまたまスーパーで賞味期限ギリギリのチーズが半額で売られていたのでラザニアになりました。チーズって高いですよね。

ミートソースに使った材料はトマト缶2缶、玉ねぎ1個、ひき肉200g、トマトペースト大匙2、ローリエ1枚、バジル・オレガノ好きなだけ、塩コショウ少々です。チーズソースにはチーズ200g、小麦粉大匙3、牛乳400cc、バター30g、塩コショウ少々を使いました。

ラザニアをしょっちゅう作るわけでは無いので、ちょうどいい大きさの耐熱皿がありませんでした。なんとかソースとラザニアを交互に並べていき、上にピザ用チーズを散らして、220度のオーブンで15分程焼いて完成です。ラザニアは5分ほど下茹でしてから使いました。

家族は最低月に2回は食べたいと言ってくれましたが、年とともにどんどん衰えていく私の胃袋は1年に1回で十分だと言っています。

とりあえず、家族に好評な夕飯を作れて良かったと思いましたが、ずぼら主婦なので、本当は残ったら平日の自分のお昼用に冷凍するつもりだったのに、全部無くなってしまったのでちょっと残念でした。











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2013年5月25日土曜日

女が階段を上る時

成瀬巳喜男監督の「女が階段を上る時」を観ました。
2010年に亡くなった高峰秀子さん主演の映画です。高峰秀子さんはこの映画で衣装も担当されています。

  • 製作国:日本(1960年公開)
  • 監督:成瀬巳喜男
  • 脚本:菊島隆三
  • 出演:高峰秀子、仲代達矢
  • 上映時間:111分


【あらすじ】

圭子(高峰秀子)は銀座のバーで雇われママとして働いている。バーの売り上げが落ちたことでオーナーからもっと営業努力をするように言われる。そんな時、以前圭子のもとで働いていたユリが開いたバーに圭子の客が通っているという噂を耳にし、ユリのバーを視察がてら訪れる。やがて、圭子は自分の店を持ちたいと決心し、資金集めに奔走するが・・・。----------------------------------------------------------------------------------------------

女性が一人で生きていくのが大変なのは今も60年代も変わらないのだな、と思いました。特に銀座という競争率の高い場所でホステスとして働くには相当な苦労が必要で、他の若いホステスたちがうまく男性客に取り入って独立していく中で、誇り高い圭子は客集め・資金集めに苦労していて、ホステスという職業に身を捧げきれない圭子の生き方がネックになっているのをみていてとってももどかしい気持ちになりました。

圭子ととても対照的だと思ったのは、圭子のもとで働いていた「純子ちゃん」です。彼女はとってもおちゃめで世間知らずでかわいいのですが、意外としっかりしていて、自分の店をいずれは持ちたい、という確固たる夢を持っています。でも、そんな野心をまったく感じさせないのが彼女の憎めないところ。圭子から電話で体良くお客様に断りを入れる方法を学んだあと、「純子、ひとつお利口になっちゃった」と茶目っ気たっぷりに言ったり、圭子の亡くなった夫の写真を見て、「太っててがっかり」とずけずけ言えちゃうんです。純子みたいに多少図々しいところが無いと自分のお店なんてもてないのだろうなあ・・・とあらためて圭子に同情。

音楽が軽快でとても映画に合っていて良かったと思いました。音楽は黛敏郎さんです。

1960年代の日本の男性社会で健気に生きる女性たちの辛さがよくよく伝わってきました。

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2013年5月24日金曜日

ルバーブジャム

家庭菜園が趣味の知り合いからルバーブをもらいました。

今まではジャムになった状態のルバーブしか見たことが無かったのですが、はじめて新鮮なルバーブを見ました。ちょっと太いセロリの茎のような感じですね。

知り合いはルバーブを収穫するとジャムやタルトにするようです。
作り方を教わったので我が家ではジャムにすることにしました。

いただいたルバーブが全部で600gあったので、その半量の砂糖(300g)とレモン汁1個分を使いました。ルバーブを1センチくらいの輪切りにし、砂糖とレモン汁をくわえてルバーブの水分が出てくるまで放置します。その後、コトコトとあくを取りながら煮てジャム状になったら出来上がりです。

切ったルバーブを砂糖とレモンにつけると、どんどん水分が出てきてびっくりしました。

そして、あくを取るのって結構難しいですね。苦手です。
綺麗にあくが取れなかったので、またジャムを作る機会があったらリベンジしたいと思います。何かコツがあるのでしょうか?次作る時までに少しジャム作りの勉強をしよう!と思いました。

 

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2013年5月23日木曜日

ミツバチのささやき

ビクトル・エリセ監督のスペイン映画「ミツバチのささやき」を観ました。

  • 製作国:スペイン(1973年)
  • 監督:ビクトル・エリセ
  • 脚本:ビクトル・エリセ、アンヘル・フェルナンデス・サントス
  • 出演:アナ・トレント、フェルナンド・フェルナン・ゴメス
  • 上映時間:99分


【あらすじ】
1940年。スペイン内戦でフランコ政権が勝利をおさめた時代。
6歳のアナはお父さんのフェルナンド、お母さんのテレサとお姉ちゃんイサベルと一緒にスペインの田舎の村に住んでいます。お父さんはミツバチの世話に没頭していて、お母さんは昔の恋人に手紙を書いたりしています。アナの良い遊び相手はお姉ちゃんのイサベルですが、イサベルはアナを時にからかいすぎてしまいます。
ある日、アナの村に移動映画がやって来ます。今回の映画は「フランケンシュタイン」です。アナはこの映画に夢中になります。映画の中でフランケンシュタインが少女を殺してしまうシーンがあり、アナはイサベルに「何でフランケンシュタインは女の子を殺しちゃったの?」と聞きます。イサベルは、映画に出てくることはぜんぶ嘘で女の子は殺されてない、怪物は精霊のようなものでアナが話したいと思えば話せるんだよ、とからかいます。イサベルはアナを村のはずれにあるさびれた納屋に連れて行き「ここは怪物の家だよ」と嘘をつきます。信じ込んだアナはひとりでたびたびその納屋に来るのですが、ある日そこで怪我をした逃亡者に出会います・・・。

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この映画の魅力は主役を演じたアナ・トレントちゃんのかわいさにつきると思います。大きな目からアナの感情が伝わってきました。アナをからかってばかりいるお姉ちゃんの嘘を信じこんでしまう純粋さは彼女にぴったりの役だと思いました。物語の後半である事件をきっかけにアナはお父さんに疑いのまなざしを向けるのですが、子どもの感受性の強さがよく表現されていると思いました。

スペイン内戦の影響が色濃く残るスペインが舞台なので、全体的に重苦しい空気が漂っています。アナはまだ幼いのできっと内戦の事は何も分からないのだと思いますが、彼女なりにちょっとした大人の言動を敏感に察して生きている様子が悲しくもありました。重苦しい映画ですが、そんな中でもいくつかほっこりするシーンがあり、私が気に入ったのは、お姉ちゃんであるイザベラと一緒にお父さんのひげそり道具を使ってひげそりの真似事をしているシーンです。とてもかわいらしいシーンです。

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2013年5月22日水曜日

切腹

小林正樹監督の「切腹」を観ました。

  • 製作国:日本(1962年)
  • 監督:小林正樹
  • 脚本:橋本忍
  • 出演:仲代達矢、三國連太郎、丹波哲郎、岩下志麻
  • 上映時間:133分


【あらすじ】

ある日、井伊家の江戸屋敷を津雲半四郎(仲代達矢)という浪人が訪ねてきます。井伊家の家老斎藤勘解由(三國連太郎)に、お家断絶で生活が困難な為武士らしく切腹をしたいと言う。その申し出を受けた家老は、当時巷で横行していた浪人たちによるゆすりの類と思い、以前に井伊家へ同じように切腹をしたい、と言ってきた浪人の話を持ち出し、半四郎を追い返そうとします。しかし、半四郎の意志は固く、井伊家の庭で切腹をする事となりましたが、その場で半四郎は思いがけない話をはじめるのでした・・・。

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素晴らしい映画を観ました。

終始津雲半四郎の物静かな語り口で進むのですが、その静かさが半四郎の抑えられた怒りをより表わしているように思えました。

当時の武士社会で、いつ誰の身に襲いかかりかねないお家断絶。それを逃れている井伊家の家臣たちの無慈悲さ、傲慢さと、苦しい生活の中でも小さな幸せを大切に家族で支え合って生きてきた半四郎一家の差が非常に強調されていました。

最後の殺陣のシーンはとても迫力があります。映画自体に感動していた事もありますが、あまりの殺陣のかっこよさに我が家ではこの映画を観た後から津雲半四郎の剣の構え方をまねするのが流行っています。

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2013年5月21日火曜日

赤い靴

モイラ・シアラー主演の「赤い靴」を観ました。

  • 製作国:イギリス(1948年製作)
  • 監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
  • 脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
  • 原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 出演:モイラ・シアラー、アントン・ウォルブルック
  • 上映時間:133分


【あらすじ】

ヴィッキー・ペイジ(モイラ・シアラー)は売れないバレエダンサー。彼女の叔母の計らいで有名なボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブック)のバレエ団で踊る機会を得るが役には恵まれない日々が続きます。しかし、ある日ヴィッキーの踊る「白鳥の湖」を観たボリスは、彼女を新しいバレエ「赤い靴」の主役に抜擢します。アンデルセンの物語同様に役に没頭した彼女はこの舞台で大成功をおさめるが・・・。

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劇中の舞台「赤い靴」の映像が幻想的で引き込まれました。若手の作曲家ジュリアン(マリウス・ゴーリング)をはじめ、多くの才能が集まって生み出された舞台だけにとても迫力があり、見ごたえのあるシーンでした。

赤い靴の「赤」だけでなくモイラ・シアラーの赤い髪の毛の色がとても鮮やかで、踊ることに夢中なヴィッキーと「赤い靴」の主人公が更に重なりました。舞台「赤い靴」で出会った若い作曲家ジュリアンと恋に落ち、幸せな生活を送るヴィッキーですが、やはり大好きなバレエは捨てられず、彼女の才能を見出し、かつヴィッキーを愛するバレエ団のプロデューサーボリスとジュリアンとの間で揺れ動きます。舞台で「赤い靴」を履いたヴィッキーが、現実の世界でその靴を脱ぎきることができない苦しさが伝わってきました。

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2013年5月20日月曜日

トマトソース

昨晩の献立はトマトソーススパゲティ、サラダ、ワカメと豆腐のお味噌汁にしました。

トマトソースを作る時はもう何年もトイロイロさんのレシピを使わせていただいています。

以前もこのブログで書いた記憶があるのですが、このトマトソースはバジルとオレガノの香りがとても良くて、煮込んでいる間も台所にいると幸せになります。

今日は、長いこと冷蔵庫で使われるのを待っていたであろう残りのセロリを加えて一緒に煮込んでみました。煮込んだらガーーッとブレンダーで攪拌してできあがりです。今回も倍量で作ったので冷凍庫にうれしいストックができました。冷凍物があると、家族がいない平日のお昼に重宝するんですよね。お昼にちょうどいい料理の場合は、私はいつも一人分ずつ小分けにして冷凍しています。











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2013年5月19日日曜日

処女の泉

最近観た映画ではないのですが、私が今まで観た映画の中で最も衝撃的だった映画があります。

イングマール・ベルイマン監督の「処女の泉」という映画です。

  • 製作国:スウェーデン(1960年)
  • 監督:イングマール・ベルイマン
  • 脚本:ウラ・イザクソン
  • 出演者:マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ヴァルベルイ
  • 上映時間:89分


  •  
    「観続けるのが辛い、だけど途中でもやめられない」この感情を持ったのはこの映画の他には今思いつく限りではビョーク主演のデンマーク映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」です。

    貧しい羊飼いの三兄弟を憐れんだ無垢な少女が彼らに殺され、彼らは少女の両親の家とは知らずにそこへ宿を求め、娘が彼らに殺されたと知った父親に彼らもまた殺されるというストーリーです。

    あまりにも強烈でむご過ぎて映画が終わった後しばし方針状態になってしまったのを覚えています。

    とても信仰心の強い父親をおそった娘を殺された悲しみ、娘を殺した羊飼いたちへの復讐心を抑えることができない程の怒りは相当なものでした。羊飼いの兄妹の内、一番下の弟はまだ幼く、何もしていないのですが、父親の怒りの矛先は幼い彼にも向いてしまうのです。人間が人を許すことの難しさを感じました。

    Youtubeにアップロードされていたイングマール・ベルイマン監督作品の予告編です。



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    2013年5月18日土曜日

    イリュージョニスト

    「イルージョニスト」を観ました。

    • 製作国:イギリス・フランス(2010年)
    • 監督:シルヴァン・ショメ
    • 脚本:シルヴァン・ショメ
    • 上映時間:80分


    【ストーリー】

    落ちぶれた初老のフランス人の手品師はさびれた劇場をまわりながら生活をしています。ある日彼はスコットランドの島を訪れ、田舎に住む人々は彼の手品を喜んでくれます。宿で出会ったアリスという少女はそんな彼を何でも夢を叶えてくれる魔法使いだと信じ込みます。手品師は島を離れ町に出る事になったのですが、アリスはそんな彼を追いかけてきてしまいます。おじいちゃんと孫のように一緒に暮らす二人でしたが、町での暮らしはアリスにとってはあまりにも魅力的で、やがて二人に別れがやってくるのでした。

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    スコットランドの町の様子や自然、生活感が雰囲気の優しい絵と共に伝わってきました。アリスの期待を裏切らないよう、生活を切り詰めながら彼女にプレゼントを渡したりする初老の手品師の優しさがあふれている作品だと思いました。

    手品師にとっては目新しい物はそうそう無いのですが、田舎から都会へ出てきたアリスはまだ幼く、世界がどんどん広がっていきます。年齢的にこれから初老の手品師の方向へ向かっている私にとっては、二人の生活感の差がどんどん大きくなっていく様はとても切なく感じました。そして、若い頃は私もアリスみたいに好奇心のかたまりだったのかもなーと懐かしく思いましたし、古い物に取って代わり新しい物の時代がやってくるというこの映画のテーマを思い、少しほろっとした気持ちにもなった映画でした。



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    2013年5月17日金曜日

    スチームボーイ

    昨日は大友克洋監督の「スチームボーイ」を観ました。

    • 製作国:日本(2004年公開)
    • 監督:大友克洋
    • 脚本:大友克洋、村井さだゆき
    • 出演(声):鈴木杏、小西真奈美
    • 上映時間:126分


    【ストーリー】

    舞台は19世紀のイギリス。マンチェスターに住むレイは父・祖父同様発明が大好きな好奇心旺盛の少年。ある日彼の元にアメリカで研究をしているはずの祖父からスチームボールという球体が郵便で届く。しかし、そこへ父と祖父の研究先であるオハラ財団から派遣された人物達がやって来てレイからスチームボールを奪おうとする。また、アメリカにいるはずの祖父も現れ、レイに父の死を知らせ、スチームボールを持って逃げるように言う。必死で逃げるレイだったがオハラ財団に捕まってしまう。オハラ財団に連れて行かれたレイは、そこで思いもしない人物と出会うのだった。

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    場面展開が早く、映画に引き込まれている内にあっという間に終わってしまった126分でした。

    スチームボール、見た目はサッカーボールくらいの大きさなのですが、信じられないようなパワーを秘めている球体で、誰も彼もがスチームボールを手にしようとします。蒸気の力が色々な発明品に使われていてそのアイデアが面白かったです。

    うちの主人はスカーレットが出てくるたびに「この女の子感じが悪い!」と年甲斐も無く怒っていましたが、私は、裏表が無くて自由奔放で少々世間知らずなスカーレットお嬢様の憎めないキャラクターが好きです。小西真奈美さんの声だとは知らず、後で調べてちょっとびっくりしました。スカーレットお嬢様の役にぴったりです!

    個人的にずっと気になったのは、レイのお父さんの髪の毛です。まるで「もののけ姫」に出てくるタタリ神のようにうねうね動いていてちょっとだけ気持ち悪いと思ってしまいました。

    19世紀のイギリスの雰囲気がとても細かく描かれていて、その風景や建物を観るのも楽しかったです。はじめの方は画面が暗かったのですが、その後レイの家の場面になった時、庭の花の色がとても鮮やかに見え、思わず「綺麗ー」と声が出てしまいました。

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    2013年5月16日木曜日

    ウンベルトD

    「自転車泥棒」で有名なヴィットリオ・デ・シーカ監督の「ウンベルトD」を観ました。

    • 製作国:イタリア(1962年公開)
    • 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
    • 脚本:チェザーレ・ザヴァッティーニ
    • 出演者:カルロ・パティスティ、マリア・ピア・カジリオ
    • 上映時間:87分


    老齢年金の昇給を求めるデモに参加するウンベルト・D・フェラーリ。彼はフライクという名前の小さなかわいい犬と一緒にアパートに住んでいます。しかし、大家である女性は家賃を滞納する彼を追い出したくて仕方がなく、勝手に彼の部屋をカップルに時間制で貸してしまいます。フェラーリは延滞している家賃の内、自分が今持っている代金で先に払おうとしますが、大家は「全額一括返済!」と一部返済を認めません。途方に暮れたフェラーリは食費を削ろうと病院に入院してみたり、友人に借金を頼もうとしたり、果ては物乞いをしてみようとしたりしますが、お金を作ることができず、結局は自分の部屋を静かに出て行く、という物語です。

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    主人公が貧しさに苦しむ、という内容の決して楽しい映画ではないのですが、フライクとおじいちゃんの友情がほほえましくとても好きな映画です。貧しさに困りながらも、人間の尊厳を失うことだけは避けようと懸命に生きるおじいちゃんの生き方が素晴らしいと思いました。

    金策に困ったおじいちゃんは自分では物乞いをする勇気が出ず、フライクに帽子をくわえさせて物乞いをさせてしまいます。その時のおじいちゃんたら、柱の陰からフライクを心配そうに見守ります。結局フライクの物乞いは割と早く打ち切りになりますが、この小さなわんちゃん、いい演技です。

    おじいちゃんが入院している時に、大家さんのメイドにフライクを預けるのですが、大家がドアを閉め忘れたばかりにフライクはアパートから逃げてしまいます。必死で探すおじいちゃん。保健所のシーンでは犬たちが処分される場所も映し出され、おじいちゃんの不安を煽ります。観ている私も「フライク、どこー?どこなの?」とおじいちゃんと一緒になって心配になってしまいました。フライクとおじいちゃんが再会できた時の喜びはなかなかのものです!

    部屋も追い出されて、フライクを安心して預けられる先も見つけられないおじいちゃんは、フライクを抱いて列車に飛び込もうとします。危険を察していち早く逃げ出すフライク。それまではおじいちゃんの後をついてまわっていたフライクですが、おじいちゃんから離れていきます。まるで「僕、死にたくないよ、おじいちゃん!やめてよ、おじいちゃん!」とフライクが言っているように見えました。そんなフライクの心を取り戻そうと松の実を必死で投げるおじいちゃん。しばらくしておじいちゃんの所に戻ってくるフライク。結局二人(一人と一匹)がどうなるのかは分かりませんが、二人を引き離せるものは無いんだな、と深い絆で結ばれた二人をうらやましい気持ちで観終えました。



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    2013年5月15日水曜日

    残り物カレー

    今晩は冷蔵庫掃除と称して残り物カレーを作りました。

    いい加減使わなくては!と思っていた余り野菜たちを一掃できてスッキリです!

    ・セロリ
    ・黄色のパプリカ
    ・にんじん
    ・カリフラワー

    古くなりかけの野菜さんたち、長々と使わずにいた私を許してください。

    これらの野菜に玉ねぎを加えた野菜ごろごろの残り物カレーです。

    例によってカレールーが無い家なので、小麦粉とカレー粉を(各大匙3)を炒めて、今日は隠し味にアプリコットジャム少々、すりおろしりんご1個、すりおろしニンニク1かけ、中濃ソース大匙1、トマトケチャップ大匙1、インスタントコーヒー少々を加えて煮込みました。りんごの風味がふんわりきいていてなかなか良い味のカレーでした。

    冷蔵庫にたくさん食材が入っている時よりも余りものだらけの時の方が料理を作るのが楽しくなるのは私だけなのでしょうか?食材を無駄にせず、使い切った時に空っぽになった冷蔵庫を見るという達成感がたまりません。











    今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

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    ズッキーニと鶏肉のリゾット

    ふと読み返してみると、このブログ、近頃映画のことしか書いていませんでした。

    もともとは、料理が下手なのでブログでもはじめてみたらちょっとは料理の勉強するかな、と思ってはじめたブログです(笑)

    ・・・という訳で、ここらでちょっと言い訳程度に料理の日記を書いてみることにいたしました。
    せっかく来ていただいて恐縮なのですが、お目汚しになるかと思いますので、もしよろしければ他の素敵なお料理のブログに移動されるのもよろしいかと存じます。

    さて、昨晩はちょっと冷蔵庫で古くなりかけていたズッキーニを消費する為に「ズッキーニと鶏肉のリゾット」を作りました。料理名だけ見ると、おいしそうな感じがするのは何故でしょうか。作り方は、もし適当の国があったら王様になれるくらい適当な私なので相当適当な作り方です。

    玉ねぎを荒めのみじん切りにし、オリーブオイルで炒めます。鶏肉を適量くわえて炒め、更に5mm程度の半月切りに切ったズッキーニを加えて炒めます。私はいつもこの段階で塩こしょう少々を加えて野菜から水分を出します。野菜が炒まったら、洗っていない状態のお米1カップ(野菜が少ない時はお米を増やします)と白ワインを100cc加えてアルコールを飛ばしながら炒めます。そして、少しずつコンソメを溶いたお湯(2カップ)を注ぎながらお米を炒め、お米に火が通ったらバター(大匙1くらい)とパルメザンチーズ(好きなだけ)を混ぜて出来上がりです。

    今日は冷蔵庫の隅っこに余っていたマッシュルームもいい機会なので(?)薄切りにして加えてみましたらなかなかよい仕事をしてくれました。

    この下にございますのが一応撮影いたしました証拠写真です。












    最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

    他の方のブログのようにおいしそうな料理が作れるようにもしもなれたら、もう少し料理の日記を書いてみたい 、と願うばかりです。


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    2013年5月14日火曜日

    フェデリコ・フェリーニ監督の「道」を観ました。
    この映画のテーマ音楽はフィギュアスケートの高橋大輔選手の演技にも使われましたのでご存知の方も多いと思います。

    • 製作国:イタリア(1954年)
    • 監督:フェデリコ・フェリーニ
    • 脚本:フェデリコ・フェリーニ
    • 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ
    • 上映時間:104分


    貧しい一家の純粋で正直なジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)は死んだ姉ローザの代わりにザンパノ(アンソニー・クイン)という旅芸人の助手として10,000リラで売られていきます。ザンパノは
    「乱暴者」という形容詞以外思い浮かばない人物ですが、何もできないジェルソミーナに太鼓とトランペットを教え込み、二人は町から町へ旅をします。はじめはザンパノに素直に従い、好意すら持つ(何故?)ジェルソミーナですが、あまりのザンパノの態度が嫌になり、彼の元を離れますが、結局捕まってしまいます。その後サーカス団に合流するザンパノ達ですが、そこにはザンパノと因縁があるらしい綱渡り芸人が既にいて、ザンパノと激しく揉めます。揉め事がエスカレートし、ザンパノと綱渡り芸人は警察に捕まり、サーカス団からもクビにされてしまいます。ジェルソミーナはサーカス団について行く事もできましたが、ザンパノを選び、再び二人は旅をします。しかし、旅の途中で再び綱渡り芸人と出会ったザンパノは、勢い余り、綱渡り芸人を死に追いやってしまいます。彼の死はジェルソミーナを追いつめ、放心状態になってしまします。ザンパノは結局ジェルソミーナが寝ている間に置いてきぼりにして一人旅に出てしまう、という物語です。

    -------------------------------------------------------

    昨日も乱暴者(「ケス」の主人公の兄)が出てくる映画を観て嫌気が指していたのに、何故だかまた乱暴者の映画を観てしまいました・・・。

    ザンパノは体も大きく態度も荒々しいのですが、怯えている犬みたいだな、と思いました。本当は悲しいのに、つい吠えてしまい余計に相手を怖がらせてしまいます。だからいつも一人なのです。そんなザンパノに従順なジェルソミーナの優しさはザンパノにはなかなか届かなくて辛いシーンばかりです。

    ジェルソミーナの辛い日々が続きますが、旅の途中で出会った綱渡り芸人の言葉に励まされたジェルソミーナは自分の人生に光を見つけます。綱渡り芸人は、ジェルソミーナにどんなに小さい石にだって、何か目的があるんだよ、と言い聞かせたのです。それまではザンパノに従うだけのジェルソミーナでしたが、自分に与えられた目的は何なんだろう?と考え始め、目が輝きだします。きっとこの、言われるがままに行動するのではなく、自分の頭で考え始めた時が一番ジェルソミーナにとって幸せな時間だったのかな、と思いました。

    数年後、ある海岸沿いの町で芸をしていたザンパノはジェルソミーナがトランペットでよく吹いていた曲を耳にします。洗濯物を干していた女性が歌っていたのですが、彼女からジェルソミーナが死んだ、という話を聞かされます。ジェルソミーナの死を知ってショックを受けるザンパノ。強がってはいますが、本当は彼は寂しい人なんだなと思いました。ラストのシーンでようやくジェルソミーナの存在の大きさに気付き、本当に一人になってしまったザンパノの悲しみがひしひしと伝わってきました。

    Youtubeにあったこの映画のトレイラーを貼ってみました。
    字幕無しなのですが、雰囲気はお分かりいただけるかと思います。




    最後まで読んでくださりありがとうございました。



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    2013年5月13日月曜日

    ケス

    ケン・ローチ監督の「ケス」を観ました。
    2006年に「麦の穂をゆらす風」でカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した監督です。

    • 製作国:イギリス(1970年公開)
    • 監督:ケン・ローチ
    • 脚本:バリー・ハインズ、ケン・ローチ
    • 出演:デヴィッド・ブラッドレイ、フレディ・フレッチャー
    • 上映時間:110分 

    この映画の主役はヨークシャーの貧しい炭鉱町で暮らす15歳の少年、ビリー・キャスパーです。
    ビリーは家ではザ・乱暴者のお兄さん、ジャドにいじめられ、学校でも生徒や先生からいびられて、何の希望も持てない日々を過ごしています。しかし、ある日ビリーは農場にあったハヤブサの巣からヒナを拾い、「ケス」と名づけて育てはじめ、ケス一色の日々がはじまります。ビリーとケスはどんどん信頼関係を築いていきます。学校の英語の授業でケスとの事をクラスの前で発表する機会があり、その時はじめてビリーはいじめられっ子ではなくて先生や生徒から賞賛の声を浴びます。しかし幸せは長く続きません。ある日、ジャドから賭け事の為のお金を預かったビリーは、「どうせ当たらないお金だし」とジャドのお金を自分とケスのための食事に使ってしまいます。それに気付いたジャドは当然怒り狂ってビリーを追いつめていく、という物語です。

    --------------------

    イギリスの学校ってどこもこんな感じなんでしょうか?

    もちろん、この映画は1970年の公開なので今も同じとは思いませんが、あまりの質の悪さに驚き、映画の本筋よりもこちらの方が気になってしまいました。こんな学校なら行かせるだけ無駄じゃないのかしら、と思いました。先生は威圧的で生徒をいびる事で自分のストレスを発散させているようにしか思えないですし、生徒たちは反抗的で行儀が非常に悪く乱暴者だらけです。揉め事の絶えない学校です。この町で生まれ育った子どもたちが貧しさから抜け出すのは相当難しいのだろうなと悲しくなりました。

    主人公ビリーは設定では15歳という役のようなのですが、とても小さくて痩せている少年なので小学校3年生か4年生くらいなのかなと勝手に思っていました。映画の終盤でビリーが就職のための面談を受けているシーンがあり、「え!こんな子どもなのに就職?」とビリーが生きている土地の厳しさを知らされました。しかも、面談で出てくる職種っていうのが、また体力勝負の仕事ばかりで更に辛くなりました。いえ、ビリーって本当にやせっぽちの少年なんです。体育の授業の後、シャワーを浴びるシーン(これもびっくりしました)があったのですが、背中の骨が浮き出ていて栄養をきちんと摂れていないんだなと思ったもので、そんな痩せている少年に肉体労働させるの!?ともうすっかりビリーの母親気分の私は思ったのでした。

    こんな過酷な環境の中で、やっと見つけたケスを育てると喜びがビリーの生活を変えます。勉強の為に古本屋からハヤブサの本を盗んだり(ダメだよ、ビリー!)、ケスの為に餌を捕まえたり、一生懸命世話をし、調教しているビリーは家や学校にいる時とは大違いでとても生き生きして目が輝いています。大体予備知識無しで映画を観る私はこの時点で「きっとラストは有名な鷹匠になったビリーが出てきて、これは大人のビリーの回顧録なんだ」と決め付けていました。結末は省きますが、苦しいけれど非常に現実的で見ごたえのある映画だと思いました。

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    2013年5月12日日曜日

    黒澤明監督の「乱」を観ました。
    シェイクスピアの「リア王」が原作の映画です。
    素晴らしい映画でした。

    • 製作国:日本、フランス(1985年)
    • 監督:黒澤明
    • 脚本:黒澤明、小国英雄、井出雅人
    • 出演:仲代達矢、寺尾總、根津甚八、隆大介、原田美枝子
    • 上映時間:162分


    領主一文字秀虎(仲代達矢さん)は家督を長男太郎(寺尾總さん)に譲り、自身は大殿として隠居すると3人の息子、三男を婿に欲しがる藤巻(植木等さん)・綾部(田崎潤さん)の前で宣言する。「三本の矢」を例えに出し、兄弟助け合うようにと諭す。うわべで物を言う上の二人の息子たちは父親に従うと言うが、しかし、3人の息子たちの中で一番正直で思いやりのある三男三郎(隆大介さん)は歯に衣着せない性格もあり、父親の考えが間違っていると言い放つ。それが気に入らなかい父は、三郎とその重臣・平山(油井昌由樹さん)を追放処分にする。三郎を追放した。長男次男の世話になりながら悠々自適に隠居生活を送るつもりだった秀虎だったのですが、太郎の正室・楓の方(原田美枝子さん)は秀虎を恨んでおり、妻の言いなりの太郎は父を城から追い出します。仕方なく家来を連れて次郎(根津甚八さん)の城へ行くも、先に太郎からの書状で事の経緯を知らされていた次郎からも受け入れてもらえず、三郎を追放した事を悔やみつつ荒れ野を彷徨い歩く・・・という物語です。

    仲代達矢さんをはじめ、素晴らしい役者さんばかりで書き始めたらきりが無いのですが、この映画の中でも特に目を引いた役がいくつかあります。

    次男次郎の家臣、鉄修理(くろがね)役の井川比佐志さん。太郎亡き後、未亡人となった楓の方を妻とした次郎は太郎同様楓の方に振り回されます。これまでも私は楓の方のワガママっぷりには割と嫌気がさしていました。楓の方から鉄修理が次郎の正室である末の方(とってもかわいらしい宮崎美子さん)を殺すように命られた時なんて、持ち前の機転を利かせてお稲荷さんの頭部を楓の方に差し出します。それを見て怒り狂う楓の方。スカーッとしました!それでも結局楓の方の勢いは治まらず、次郎は楓の方にそそのかされてしまいます・・・。井川比佐志さんて素晴らしい俳優さんですねー。楓の方の話が出たところで、私は楓の方が出るシーンのたびに「うわ、また出た!一体今度は何を言い出すの?」とドキドキしました。原田美枝子さんの妖艶な演技と迫力に驚かされました。

    それから、人里を離れて暮らす鶴丸です。髪がぼさぼさなので顔もなかなか見えず、でも立ち居振る舞いや声にとても存在感があり、それが鶴丸の薄気味悪さをより強調していて、映画を観ながらこの役者さん誰だろう、誰だろう?とずっと疑問に思ってました。観終わった後で調べて、「野村武司」という役者さんだと知りました。声に聞き覚えがあったのに知らない役者さんだったので気のせいか・・・と思いましたら、なんと野村萬斎さんの本名でした。なるほど、と納得。

    とても見ごたえのある映画でした。また観たいと思います。


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    プロデューサーズ

    一昨日は「白痴」という重いテーマの映画を観たせいか、その反動でコメディ映画を観たくなり、昨日は1951年のアメリカ映画「プロデューサーズ」を選びました。

    • 製作国:アメリカ(1951年)
    • 監督:メル・ブルックス
    • 脚本:メル・ブルックス
    • 出演:ゼロ・モステル、ジーン・ワイルダー
    • 上映時間:84分


    2005年にこの映画はミュージカル映画として公開されているのでそちらをご覧になった方もいると思います。 私はまだ2005年の映画は観ていないのですが、そちらも面白そうです。

    落ち目のプロデューサー、マックス・ビアリストックは、お金持ちの老婦人達から投資という名目でお金をもらって生活をしている。ある日、マックスの事務所へ会計士のレオが訪れ、レオは帳簿を調べている内に、芝居がヒットするより失敗させた方がより大儲けできることに気付き、二人は最低な芝居を作ってお金をもうけようと企みます。失敗するためには、最低の脚本、最低な演出家、最低な役者が必要。探し当てた脚本はなんと「ヒトラーの春」というもので・・・。というストーリーです。

    ところどころに小さな笑いが散りばめられていて飽きませんでした。

    マックスがお金持ちの老婦人たちからお金を集める様子が、冒頭の「暮らしのために」という目的の時と「芝居を失敗させて金儲けをする!」というはっきりとした目的ができた時とで真剣さが大きく違い、笑ってしまいました。それから、芝居の主役・ヒトラー役を選ぶオーディションの場面で、主役を勝ち取ろうと必死にウォーミングアップする応募者の様子がツボに入りました。

    劇中劇がヒトラーについての内容である事や、ゲイの演出家とその助手が出ていること、1951年の映画なのに扱っても問題なかったのかな、と思いました。

    芝居は当初の計画とは大きく違い、大ヒットをしてしまい大いに落ち込むマックスとレオ。いかに公演を中止させるか、役者を殺すと言い出したり、あれこれ画策します。最後の最後まで見逃せないとても楽しい映画です。

    ジーン・ワイルダーのちょっと神経質でコミカルな演技には笑ってしまいました。明日は久しぶりにジーン・ワイルダー主演の「夢のチョコレート工場」を観ようかなーと思います。この映画は後でジョニー・デップ主演でリメイクされてます。私はどちらも好きです。

    「プロデューサーズ」の中に出てきたこの歌がしばらく頭から離れませんでした(笑)





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    2013年5月11日土曜日

    白痴

    最近は黒澤明監督の映画を観ることが多いです。
    昨日は1951年の映画「白痴」を観ました。原作は同名のドストエフスキーの小説です。

    • 製作国:日本(1951年)
    • 監督:黒澤明
    • 脚本:黒澤明、久板栄二郎
    • 出演:森雅之、原節子、三船敏郎、久我美子
    • 上映時間:166分
    この映画のヒロイン、那須妙子役の原節子さんは小津安二郎監督作品で優しさ気品にあふれている役柄を演じている印象がとても強いです。しかし、この「白痴」では見慣れている原節子さんとは真逆の、心が傷ついているがゆえの悪女を演じています。あまり見慣れない原節子さんの演技とその迫力に驚いてしまいました。

    「白痴」というタイトルですが、この言葉はこの映画では良い意味で使われていると感じました。私はドストエフスキーの原作は読んだ事はありません。この映画から感じたのは「白痴」=純粋・無垢ということです。病気で白痴になった亀田(森雅之さん)がその場にいると、遺産相続や結婚問題などでごたごたしている人々の心を丸くさせる存在です。もちろん多くの人は彼のことを馬鹿にしているのですが、その中でも彼の心の綺麗さを分かる人たちもいます。その内の女性二人、那須妙子と大野綾子(久我美子さん)が亀田を心から愛して奪い合い、亀田も二人の女性の中で揺れ動くというストーリーです。

    この映画の中で私が好きなシーンは、赤間(三船敏郎さん)の家で赤間と赤間の年老いた母と亀田の3人がお茶菓子をつまみながらお茶をするほほえましい場面です。年老いたお母さんだからこそ余計に亀田の純粋さが分かるのだろう、と思いました。

    映画の途中で説明の字幕が入る事が多く、これも映像で観てみたいなという気持ちはありましたが、どうも都合上カットしなければいけなかったようです。

    綾子役の久我美子さんをこの映画ではじめてみたのですが、その美しさが際立っていました。他の作品も観てみたいな、と思いました。


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    2013年5月10日金曜日

    デルス・ウザーラ

    昨晩は黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」を観ました。

    • 製作国:日本・ソ連(1975年)
    • 監督:黒澤明
    • 脚本:黒澤明、ユーリー・ナギービン
    • 出演:ユーリー・サローミン、 マクシム・ムンズク
    • 上映時間:141分

    この映画の魅力、それは映画のタイトルでもあるデルス・ウザーラ(マクシム・ムンズク)の生き方以外のなにものでもないと思います。現代社会に生きる私たちは知らず知らずの内に色々なしがらみにとらわれていて、それに比べてデルスの自由で質素な生き方は非常に魅力的でした。生きるのに本当に必要なのは何なのか、教えられた気がしました。

    この表現が正しいのかは分からないのですが、私にとってデルスはとてもかわいらしい人間に思えました。以下、私が個人的に気に入ったデルスです。他にももっとたくさんあります。デルスはとても魅力的なのです。

    ・ソ連の軍人さんよりもピストルの名手
    ・森の住人だけあってサバイバル術に長けていて何度も軍人さんたちの危機を救う
    ・人情がとても厚い
    ・記念撮影で軍帽をちょこっと被らされる
    ・軍人さんの中にいるととても小さく見えてかわいらしい

    信頼関係を築いた後、第一部の最後でアルセーニエフ隊長と互いに呼び合うシーンはじーんとくるものがありました。第二部がはじまっても隊長は「デルスがいたら・・・」とデルスの事ばかり考えています。そして遂に再会する二人。離れていた時間を埋めるように語り合う二人&そんな二人を遠くから優しく見守る隊長の部下たち。固い友情で結ばれているのが伝わってきます。

    第二部で筏が流され、筏の上に隊長と二人残されるデルスですが、やはりそこはさすがデルスです。隊長を先に逃がし、自分はギリギリの所で筏から飛び降ります。先に逃がされた隊長ももう必死でデルスを流れの激しい川から救出しようとします。

    このままずっと二人の友情が続けばいいのに、と願いましたがやはりそうはいきませんでした。森で狩をしながら生きるデルスにとって大切な視力が衰えはじめるのです。デルスを心配する隊長は町にある自宅で一緒に暮らそうと連れて行きますが、森で暮らしてきたデルスは町での暮らしに適応できません。町では鉄砲も撃っちゃダメ、商人から水を買う奥さんを見て奥さんがだまされていると思うデルス、薪を買う奥さんを見て公園にある木を切って警察につかまるデルス。自由に森で暮らしてきたデルスには町の決まりごとの多い不自由な暮らしが合わないのです。もともと小さかったデルスの背中が日に日にどんどん小さくなっていきます。隊長の奥さん、子どもとも仲良しですが、終に森に帰る決心をします。そして物語は結末に向かいます。

    二人の友情がすばらしいです。そして、文明化された社会に慣れてここで生きている私はデルスの自然体な生き方に強い憧れを持ちました。便利なはずの世の中なのに、振り返ってみればわずらわしいことの何と多いこと。その便利さが心を麻痺させたりしているのかしら、とも考えさせられました。

    何でもっと早く観なかったのかしら、と心から思ったすばらしい映画でした。


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