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2013年5月18日土曜日

イリュージョニスト

「イルージョニスト」を観ました。

  • 製作国:イギリス・フランス(2010年)
  • 監督:シルヴァン・ショメ
  • 脚本:シルヴァン・ショメ
  • 上映時間:80分


【ストーリー】

落ちぶれた初老のフランス人の手品師はさびれた劇場をまわりながら生活をしています。ある日彼はスコットランドの島を訪れ、田舎に住む人々は彼の手品を喜んでくれます。宿で出会ったアリスという少女はそんな彼を何でも夢を叶えてくれる魔法使いだと信じ込みます。手品師は島を離れ町に出る事になったのですが、アリスはそんな彼を追いかけてきてしまいます。おじいちゃんと孫のように一緒に暮らす二人でしたが、町での暮らしはアリスにとってはあまりにも魅力的で、やがて二人に別れがやってくるのでした。

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スコットランドの町の様子や自然、生活感が雰囲気の優しい絵と共に伝わってきました。アリスの期待を裏切らないよう、生活を切り詰めながら彼女にプレゼントを渡したりする初老の手品師の優しさがあふれている作品だと思いました。

手品師にとっては目新しい物はそうそう無いのですが、田舎から都会へ出てきたアリスはまだ幼く、世界がどんどん広がっていきます。年齢的にこれから初老の手品師の方向へ向かっている私にとっては、二人の生活感の差がどんどん大きくなっていく様はとても切なく感じました。そして、若い頃は私もアリスみたいに好奇心のかたまりだったのかもなーと懐かしく思いましたし、古い物に取って代わり新しい物の時代がやってくるというこの映画のテーマを思い、少しほろっとした気持ちにもなった映画でした。



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2013年5月14日火曜日

フェデリコ・フェリーニ監督の「道」を観ました。
この映画のテーマ音楽はフィギュアスケートの高橋大輔選手の演技にも使われましたのでご存知の方も多いと思います。

  • 製作国:イタリア(1954年)
  • 監督:フェデリコ・フェリーニ
  • 脚本:フェデリコ・フェリーニ
  • 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ
  • 上映時間:104分


貧しい一家の純粋で正直なジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)は死んだ姉ローザの代わりにザンパノ(アンソニー・クイン)という旅芸人の助手として10,000リラで売られていきます。ザンパノは
「乱暴者」という形容詞以外思い浮かばない人物ですが、何もできないジェルソミーナに太鼓とトランペットを教え込み、二人は町から町へ旅をします。はじめはザンパノに素直に従い、好意すら持つ(何故?)ジェルソミーナですが、あまりのザンパノの態度が嫌になり、彼の元を離れますが、結局捕まってしまいます。その後サーカス団に合流するザンパノ達ですが、そこにはザンパノと因縁があるらしい綱渡り芸人が既にいて、ザンパノと激しく揉めます。揉め事がエスカレートし、ザンパノと綱渡り芸人は警察に捕まり、サーカス団からもクビにされてしまいます。ジェルソミーナはサーカス団について行く事もできましたが、ザンパノを選び、再び二人は旅をします。しかし、旅の途中で再び綱渡り芸人と出会ったザンパノは、勢い余り、綱渡り芸人を死に追いやってしまいます。彼の死はジェルソミーナを追いつめ、放心状態になってしまします。ザンパノは結局ジェルソミーナが寝ている間に置いてきぼりにして一人旅に出てしまう、という物語です。

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昨日も乱暴者(「ケス」の主人公の兄)が出てくる映画を観て嫌気が指していたのに、何故だかまた乱暴者の映画を観てしまいました・・・。

ザンパノは体も大きく態度も荒々しいのですが、怯えている犬みたいだな、と思いました。本当は悲しいのに、つい吠えてしまい余計に相手を怖がらせてしまいます。だからいつも一人なのです。そんなザンパノに従順なジェルソミーナの優しさはザンパノにはなかなか届かなくて辛いシーンばかりです。

ジェルソミーナの辛い日々が続きますが、旅の途中で出会った綱渡り芸人の言葉に励まされたジェルソミーナは自分の人生に光を見つけます。綱渡り芸人は、ジェルソミーナにどんなに小さい石にだって、何か目的があるんだよ、と言い聞かせたのです。それまではザンパノに従うだけのジェルソミーナでしたが、自分に与えられた目的は何なんだろう?と考え始め、目が輝きだします。きっとこの、言われるがままに行動するのではなく、自分の頭で考え始めた時が一番ジェルソミーナにとって幸せな時間だったのかな、と思いました。

数年後、ある海岸沿いの町で芸をしていたザンパノはジェルソミーナがトランペットでよく吹いていた曲を耳にします。洗濯物を干していた女性が歌っていたのですが、彼女からジェルソミーナが死んだ、という話を聞かされます。ジェルソミーナの死を知ってショックを受けるザンパノ。強がってはいますが、本当は彼は寂しい人なんだなと思いました。ラストのシーンでようやくジェルソミーナの存在の大きさに気付き、本当に一人になってしまったザンパノの悲しみがひしひしと伝わってきました。

Youtubeにあったこの映画のトレイラーを貼ってみました。
字幕無しなのですが、雰囲気はお分かりいただけるかと思います。




最後まで読んでくださりありがとうございました。



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2013年5月12日日曜日

黒澤明監督の「乱」を観ました。
シェイクスピアの「リア王」が原作の映画です。
素晴らしい映画でした。

  • 製作国:日本、フランス(1985年)
  • 監督:黒澤明
  • 脚本:黒澤明、小国英雄、井出雅人
  • 出演:仲代達矢、寺尾總、根津甚八、隆大介、原田美枝子
  • 上映時間:162分


領主一文字秀虎(仲代達矢さん)は家督を長男太郎(寺尾總さん)に譲り、自身は大殿として隠居すると3人の息子、三男を婿に欲しがる藤巻(植木等さん)・綾部(田崎潤さん)の前で宣言する。「三本の矢」を例えに出し、兄弟助け合うようにと諭す。うわべで物を言う上の二人の息子たちは父親に従うと言うが、しかし、3人の息子たちの中で一番正直で思いやりのある三男三郎(隆大介さん)は歯に衣着せない性格もあり、父親の考えが間違っていると言い放つ。それが気に入らなかい父は、三郎とその重臣・平山(油井昌由樹さん)を追放処分にする。三郎を追放した。長男次男の世話になりながら悠々自適に隠居生活を送るつもりだった秀虎だったのですが、太郎の正室・楓の方(原田美枝子さん)は秀虎を恨んでおり、妻の言いなりの太郎は父を城から追い出します。仕方なく家来を連れて次郎(根津甚八さん)の城へ行くも、先に太郎からの書状で事の経緯を知らされていた次郎からも受け入れてもらえず、三郎を追放した事を悔やみつつ荒れ野を彷徨い歩く・・・という物語です。

仲代達矢さんをはじめ、素晴らしい役者さんばかりで書き始めたらきりが無いのですが、この映画の中でも特に目を引いた役がいくつかあります。

次男次郎の家臣、鉄修理(くろがね)役の井川比佐志さん。太郎亡き後、未亡人となった楓の方を妻とした次郎は太郎同様楓の方に振り回されます。これまでも私は楓の方のワガママっぷりには割と嫌気がさしていました。楓の方から鉄修理が次郎の正室である末の方(とってもかわいらしい宮崎美子さん)を殺すように命られた時なんて、持ち前の機転を利かせてお稲荷さんの頭部を楓の方に差し出します。それを見て怒り狂う楓の方。スカーッとしました!それでも結局楓の方の勢いは治まらず、次郎は楓の方にそそのかされてしまいます・・・。井川比佐志さんて素晴らしい俳優さんですねー。楓の方の話が出たところで、私は楓の方が出るシーンのたびに「うわ、また出た!一体今度は何を言い出すの?」とドキドキしました。原田美枝子さんの妖艶な演技と迫力に驚かされました。

それから、人里を離れて暮らす鶴丸です。髪がぼさぼさなので顔もなかなか見えず、でも立ち居振る舞いや声にとても存在感があり、それが鶴丸の薄気味悪さをより強調していて、映画を観ながらこの役者さん誰だろう、誰だろう?とずっと疑問に思ってました。観終わった後で調べて、「野村武司」という役者さんだと知りました。声に聞き覚えがあったのに知らない役者さんだったので気のせいか・・・と思いましたら、なんと野村萬斎さんの本名でした。なるほど、と納得。

とても見ごたえのある映画でした。また観たいと思います。


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2013年5月10日金曜日

デルス・ウザーラ

昨晩は黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」を観ました。

  • 製作国:日本・ソ連(1975年)
  • 監督:黒澤明
  • 脚本:黒澤明、ユーリー・ナギービン
  • 出演:ユーリー・サローミン、 マクシム・ムンズク
  • 上映時間:141分

この映画の魅力、それは映画のタイトルでもあるデルス・ウザーラ(マクシム・ムンズク)の生き方以外のなにものでもないと思います。現代社会に生きる私たちは知らず知らずの内に色々なしがらみにとらわれていて、それに比べてデルスの自由で質素な生き方は非常に魅力的でした。生きるのに本当に必要なのは何なのか、教えられた気がしました。

この表現が正しいのかは分からないのですが、私にとってデルスはとてもかわいらしい人間に思えました。以下、私が個人的に気に入ったデルスです。他にももっとたくさんあります。デルスはとても魅力的なのです。

・ソ連の軍人さんよりもピストルの名手
・森の住人だけあってサバイバル術に長けていて何度も軍人さんたちの危機を救う
・人情がとても厚い
・記念撮影で軍帽をちょこっと被らされる
・軍人さんの中にいるととても小さく見えてかわいらしい

信頼関係を築いた後、第一部の最後でアルセーニエフ隊長と互いに呼び合うシーンはじーんとくるものがありました。第二部がはじまっても隊長は「デルスがいたら・・・」とデルスの事ばかり考えています。そして遂に再会する二人。離れていた時間を埋めるように語り合う二人&そんな二人を遠くから優しく見守る隊長の部下たち。固い友情で結ばれているのが伝わってきます。

第二部で筏が流され、筏の上に隊長と二人残されるデルスですが、やはりそこはさすがデルスです。隊長を先に逃がし、自分はギリギリの所で筏から飛び降ります。先に逃がされた隊長ももう必死でデルスを流れの激しい川から救出しようとします。

このままずっと二人の友情が続けばいいのに、と願いましたがやはりそうはいきませんでした。森で狩をしながら生きるデルスにとって大切な視力が衰えはじめるのです。デルスを心配する隊長は町にある自宅で一緒に暮らそうと連れて行きますが、森で暮らしてきたデルスは町での暮らしに適応できません。町では鉄砲も撃っちゃダメ、商人から水を買う奥さんを見て奥さんがだまされていると思うデルス、薪を買う奥さんを見て公園にある木を切って警察につかまるデルス。自由に森で暮らしてきたデルスには町の決まりごとの多い不自由な暮らしが合わないのです。もともと小さかったデルスの背中が日に日にどんどん小さくなっていきます。隊長の奥さん、子どもとも仲良しですが、終に森に帰る決心をします。そして物語は結末に向かいます。

二人の友情がすばらしいです。そして、文明化された社会に慣れてここで生きている私はデルスの自然体な生き方に強い憧れを持ちました。便利なはずの世の中なのに、振り返ってみればわずらわしいことの何と多いこと。その便利さが心を麻痺させたりしているのかしら、とも考えさせられました。

何でもっと早く観なかったのかしら、と心から思ったすばらしい映画でした。


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2013年5月8日水曜日

恋愛小説家

おはようございます。

先日うちに遊びに来てくれた親戚がDVDを貸してくれました。

それが「恋愛小説家」です。

この映画はアカデミー賞をとったりしたのを知っていたので、一度観てみたいなと思っていた映画でした。昨日はなんだかとても余裕のある一日だったので2本も映画を観てしまいました。

観終わった感想ですが、何でもっと早く観なかったのかしら!と思いました。

潔癖症の主人公(ジャック・ニコルソン)が、ある事情でゲイの隣人から犬を預かり世話をするのです。犬と接するうちに、犬だけではなく、隣人やヘレン・ハント扮するウェイトレスにも心を開いていく様が凝り固まったものがじわーっとあたたかくなって溶けていく気持ちになりました。

主人公の心を開かせたのは、ブリュッセル・グリフォンという犬種で名前は「ヴァーデル」。この子、かわいすぎます。普段は猫派な私ですが、映画を観てからは犬もいいなーとこの子にメロメロです。

ここしばらくずっとサスペンス映画ばかり続いていたので、違う雰囲気の映画が観たいな、と思っていた私にはぴったりで、とてもほんわかした気持ちになれた映画でした。

2013年5月7日火曜日

奇跡の人

今日は1962年の映画「奇跡の人」を観ました。

アン・サリヴァンとヘレン・ケラーの伝記映画です。舞台も有名なのでご存知の方も多いと思います。私は子どもの頃に小学校の図書室で世界の偉人シリーズを読んで三重苦のヘレン・ケラーの事を知りました。

映画では冒頭、ヘレン(パティ・デューク)の家族はヘレンとコミュニケーションをはかれないことから一切躾もできずにヘレンを好き放題にさせて困り果てているのです。ただ、ヘレンのお母さんだけはヘレンの心の中にみんなと同じように見たり聞いたりできるようになりたい、という希望があると信じていて、母親の愛って深いなあとあらためて思いました。

その後アン・サリヴァン先生(アン・バンクラフト)がやって来て粗暴なヘレンに懸命な努力でヘレンの心を開き、しつけや言葉を教えようとします。この映画でパティ・デュークもアン・バンクラフトもアカデミー賞を受賞しているのですが、当然だろうな・・・と納得の二人の迫真の演技です。時に厳しすぎるのではないか、と思う箇所ももちろんありましたし、二人を見守る家族の葛藤が辛くもありました。それらを乗り越えてヘレンが水が「水」とよばれていることを理解し「ウォーッ!ウォーッ!」と叫ぶシーンはとても感動しました。

サリヴァン先生との出会いがヘレンを変えたように、人との出会いって大切だな、と考えさせられた映画でした。