- 製作国:日本(1990年)
- 監督: 黒澤明
- 脚本: 黒澤明
- 出演: 寺尾聰、賠償美津子、井川比佐志
- 上映時間:119分
【内容】
私(黒澤明監督)が見た8つの夢を題材にしたオムニバス映画。
「日照り雨」
ある日、5歳の私は狐の嫁入りを見てしまう。
「桃畑」
桃の節句の日、少年時代の私は姉と姉の友人に混じって不思議な少女を見かけ、少女を追っていくと桃の段々畑にたどり着く。
「雪あらし」
私たちは、雪山登山中に猛吹雪に遭遇し、次第に睡魔に襲われる。
「トンネル」
戦争から生還してきた私はトンネルの入口に差し掛かったとき、手榴弾を背負った犬と出会う。
「鴉」
画学生の私が美術館のゴッホの絵を鑑賞している内に「アルルのはね橋」の絵の中を歩いていた。そして私はゴッホと出会うのだった。
「赤富士」
原発が爆発。逃げる人たちと真っ赤に溶けていく富士山。そこで私は原発に勤めていた男に出会う。
「鬼哭」
滅びようとしている地球で私は鬼と出会う。鬼によると鬼にも階級があり、角が多い方が階級が上という。鬼たちは共食いをしながら生き延びているが、食われない限り死ぬことができないという苦しみが彼らをおそっていた。
「水車のある村」
自然豊かな村で私は老人と出会う。この村では現代の技術を生活に取り入れずに自然と共存して生活をしていた。
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なんて色彩鮮やかで幻想的な夢を観る監督なのでしょうか。
「日照り雨」
キツネが虹の下に住んでいる、という設定がとてもかわいらしいなと思いました。ゆっくりと進んでいくキツネの嫁入りの行列のシーンが少し滑稽で笑ってしまいました。
「桃畑」
この映画の中ではこの桃の節句の夢が気に入りました。
何といっても衣装(ワダエミさん)がとてもカラフルで綺麗、そして雅楽も素敵。5人の女の子が一緒に桃の節句を祝っていたから5対のお雛様が出てきて、とても幻想的で美しいエピソードだと思いました。
「鴉」
ゴッホの絵画の世界に入り込むという設定が面白いと思いました。ゴッホの絵の中なので、色彩が鮮やかでにおいまで伝わってきそうでした。ゴッホを演じたのはなんと有名な映画監督マーティン・スコセッシ!
「赤富士」
この映画は1990年に公開された映画で、もちろん2011年の東日本大震災の前です。黒澤明監督が原発に抱いていた恐怖心・懐疑心がよく表現されている話だと思いました。放射能が漏れた時に分かりやすく色づけがされているという設定が怖かったです。そして、人間はコントロールできないものを作る生き物だよな、とあらためて思いました。
夢はみるけれども、起きたら即忘れる、という記憶力の悪い私です。
黒澤明監督の夢は内容も独創的で想像力あふれたものですし、こんなにきちんと夢を覚えておられた事がやはり黒澤明監督は才能にあふれた方だったのだな、と思いました。そして、素晴らしい芸術家であるからこそ、ご自分の夢を題材に映画にもできるのだな・・・と。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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