2013年5月11日土曜日

白痴

最近は黒澤明監督の映画を観ることが多いです。
昨日は1951年の映画「白痴」を観ました。原作は同名のドストエフスキーの小説です。

  • 製作国:日本(1951年)
  • 監督:黒澤明
  • 脚本:黒澤明、久板栄二郎
  • 出演:森雅之、原節子、三船敏郎、久我美子
  • 上映時間:166分
この映画のヒロイン、那須妙子役の原節子さんは小津安二郎監督作品で優しさ気品にあふれている役柄を演じている印象がとても強いです。しかし、この「白痴」では見慣れている原節子さんとは真逆の、心が傷ついているがゆえの悪女を演じています。あまり見慣れない原節子さんの演技とその迫力に驚いてしまいました。

「白痴」というタイトルですが、この言葉はこの映画では良い意味で使われていると感じました。私はドストエフスキーの原作は読んだ事はありません。この映画から感じたのは「白痴」=純粋・無垢ということです。病気で白痴になった亀田(森雅之さん)がその場にいると、遺産相続や結婚問題などでごたごたしている人々の心を丸くさせる存在です。もちろん多くの人は彼のことを馬鹿にしているのですが、その中でも彼の心の綺麗さを分かる人たちもいます。その内の女性二人、那須妙子と大野綾子(久我美子さん)が亀田を心から愛して奪い合い、亀田も二人の女性の中で揺れ動くというストーリーです。

この映画の中で私が好きなシーンは、赤間(三船敏郎さん)の家で赤間と赤間の年老いた母と亀田の3人がお茶菓子をつまみながらお茶をするほほえましい場面です。年老いたお母さんだからこそ余計に亀田の純粋さが分かるのだろう、と思いました。

映画の途中で説明の字幕が入る事が多く、これも映像で観てみたいなという気持ちはありましたが、どうも都合上カットしなければいけなかったようです。

綾子役の久我美子さんをこの映画ではじめてみたのですが、その美しさが際立っていました。他の作品も観てみたいな、と思いました。


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