2013年5月12日日曜日

黒澤明監督の「乱」を観ました。
シェイクスピアの「リア王」が原作の映画です。
素晴らしい映画でした。

  • 製作国:日本、フランス(1985年)
  • 監督:黒澤明
  • 脚本:黒澤明、小国英雄、井出雅人
  • 出演:仲代達矢、寺尾總、根津甚八、隆大介、原田美枝子
  • 上映時間:162分


領主一文字秀虎(仲代達矢さん)は家督を長男太郎(寺尾總さん)に譲り、自身は大殿として隠居すると3人の息子、三男を婿に欲しがる藤巻(植木等さん)・綾部(田崎潤さん)の前で宣言する。「三本の矢」を例えに出し、兄弟助け合うようにと諭す。うわべで物を言う上の二人の息子たちは父親に従うと言うが、しかし、3人の息子たちの中で一番正直で思いやりのある三男三郎(隆大介さん)は歯に衣着せない性格もあり、父親の考えが間違っていると言い放つ。それが気に入らなかい父は、三郎とその重臣・平山(油井昌由樹さん)を追放処分にする。三郎を追放した。長男次男の世話になりながら悠々自適に隠居生活を送るつもりだった秀虎だったのですが、太郎の正室・楓の方(原田美枝子さん)は秀虎を恨んでおり、妻の言いなりの太郎は父を城から追い出します。仕方なく家来を連れて次郎(根津甚八さん)の城へ行くも、先に太郎からの書状で事の経緯を知らされていた次郎からも受け入れてもらえず、三郎を追放した事を悔やみつつ荒れ野を彷徨い歩く・・・という物語です。

仲代達矢さんをはじめ、素晴らしい役者さんばかりで書き始めたらきりが無いのですが、この映画の中でも特に目を引いた役がいくつかあります。

次男次郎の家臣、鉄修理(くろがね)役の井川比佐志さん。太郎亡き後、未亡人となった楓の方を妻とした次郎は太郎同様楓の方に振り回されます。これまでも私は楓の方のワガママっぷりには割と嫌気がさしていました。楓の方から鉄修理が次郎の正室である末の方(とってもかわいらしい宮崎美子さん)を殺すように命られた時なんて、持ち前の機転を利かせてお稲荷さんの頭部を楓の方に差し出します。それを見て怒り狂う楓の方。スカーッとしました!それでも結局楓の方の勢いは治まらず、次郎は楓の方にそそのかされてしまいます・・・。井川比佐志さんて素晴らしい俳優さんですねー。楓の方の話が出たところで、私は楓の方が出るシーンのたびに「うわ、また出た!一体今度は何を言い出すの?」とドキドキしました。原田美枝子さんの妖艶な演技と迫力に驚かされました。

それから、人里を離れて暮らす鶴丸です。髪がぼさぼさなので顔もなかなか見えず、でも立ち居振る舞いや声にとても存在感があり、それが鶴丸の薄気味悪さをより強調していて、映画を観ながらこの役者さん誰だろう、誰だろう?とずっと疑問に思ってました。観終わった後で調べて、「野村武司」という役者さんだと知りました。声に聞き覚えがあったのに知らない役者さんだったので気のせいか・・・と思いましたら、なんと野村萬斎さんの本名でした。なるほど、と納得。

とても見ごたえのある映画でした。また観たいと思います。


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